Wi-Fi技術やAIの進化により様々なモノにインターネット接続技術を組み込めるようになりました。IoTの導入によってこれからはあらゆる介護業務が効率化されていくでしょう。具体的に、どのような業務に効果が期待できるのかを以下に紹介します。
ベッドにセンサーを設置することで、利用者の状態を離れた場所にいても把握できるようになります。これまでは定期的に巡回して直接状態の確認を行っていましたが、その必要がなくなります。人手不足になりやすい夜勤時でも、リアルタイムで高齢者の見守りができます。見守り型のIoTシステムには「接触型」と「非接触型」の2種類があります。接触型は利用者がベッドから降りた際に触れるマットにセンサーを搭載するタイプです。非接触型はドアやエアコン、その他の家電などに搭載されていることが多いです。そのため、非接触型は介護施設だけでなく遠方で暮らす家族が親の見守りのために導入しているケースも多いです。ベッドのマットレスに組み込んで利用者の存在を感知するタイプであれば、カメラなどとは違い「見張られている」という感覚がないので不快感を覚えることもありません。
見守り業務にIoTを導入すれば、夜間の徘徊などを監視できるだけでなく、トラブルも未然に防げます。実際に導入した介護施設では、夜間の呼び出しコールの回数が大幅に減ったという事例もあります。これは、コールが鳴る前にスタッフが徘徊に気付けるようになったためです。
高齢者のコミュニケーションをサポートするIoT技術にも注目が集まっています。利用者の状態を把握した上で声がけをする機能を介護ロボットに搭載し、コミュニケーションを図ります。また、レクリエーション機能を搭載したロボットは人手不足に陥っている現場で大きな効果を発揮します。モニターを搭載しているタイプであれば、直接面会できない家族との対話も可能となります。
排せつ支援機能を搭載した機器は高齢者が直接装着することで効果を発揮します。高性能のセンサーで膀胱の状態を観察し、排尿前後のタイミングをスタッフに通知します。これにより、適切なタイミングでおむつ交換やトイレへの誘導が可能となります。排せつ介助という負担の大きい業務が効率化されることは、利用者だけでなくスタッフにとっても大きなメリットです。また、センサーのデータを基にトイレに誘導することで高齢者の自立も促進されます。
カルテ記録や介護プラン作成などの書類作成業務においても効果を発揮します。これらを電子化したIoTシステムを導入することで、今まで手作業で行っていた業務がデジタル化され、大幅な負担軽減につながります。
IoTを導入することでスタッフの業務負担が大幅に軽減されます。その結果介護の質向上にもつながり、介護サービス利用者とスタッフの双方にメリットが生まれます。また、人材の定着率が上がるため、人材確保を急務としている介護業界にとっても大きなメリットとなります。