介護の現場にIoTが導入されることで、どのようなメリットを得られるのかを紹介します。施設側としては、メリットを十分に把握した上で自分たちにとって最も必要な機能は何かを検討する必要があります。
最も大きなメリットとして挙げられるのが、業務負担の軽減です。人の手がなかなか行き届かない部分をIoTによってカバーすることで、業務負担の軽減と共にスタッフのストレス軽減効果も期待できます。例えば、書類作成業務は通常の介護業務の合間に行うことが多く、残業が発生する要因として問題視されていました。これをIoTによって効率化することで書類作成にかかる時間が大幅に削減され、結果として全体の生産性が向上します。また、転倒などのリスクがある職場では、人手不足がスタッフのストレスを増加させる原因になります。IoTを導入すれば遠隔地にいても状態の把握が可能なため、スタッフの不安が大幅に軽減されます。
訪問介護やケアマネジャーなどの職種に就く人にとっても、遠隔地から利用者の状態を把握できるのは大きなメリットです。タブレットやスマートフォンを上手に活用することで、移動時間や各種業務の手間が削減され、業務が効率化されます。
業務負担が軽減されることでスタッフには余裕が生まれます。結果として、それが介護の質向上につながります。見守り型のシステムを導入することで利用者の状態をリアルタイムで確認できるので、徘徊や転倒などのトラブルを未然に防げます。排せつ支援システムを導入すれば適切なタイミングでトイレへの誘導が可能となり、介護の本質ともいえる高齢者自身の自立が促されます。
IoTはデータの分析・フィードバックにも役立ちます。介護記録をIoTによって分析することで、科学的根拠に基づいたケアの実現が可能となり、介護の可能性はより広がっていきます。
タブレットやスマートフォンの活用は若い世代の人材定着率向上にも効果を発揮します。介護ロボットを活用した介護ケアにも注目が集まっているため、新しい技術になじみの深い世代が活躍しやすい環境になっていくでしょう。業務が効率化し、負担が軽減されることで離職率も低下します。人材の確保が急務とされている介護業界において、これは非常に大きなメリットです。
介護の現場はあらゆる立場の人が連携しながら業務を行っています。そのため、離れた場所にいるスタッフとの情報共有を容易にするIoT技術はスタッフ間のコミュニケーションを円滑化させる効果があります。スタッフ全員が同一の認識を持って業務に取り組むことで、介護の質は大幅に向上します。また、人間関係を理由にした離職が多いため、コミュニケーションの円滑化による離職率の低下も見込めます。
IoTを導入することでスタッフの業務負担が大幅に軽減されます。その結果介護の質向上にもつながり、介護サービス利用者とスタッフの双方にメリットが生まれます。また、人材の定着率が上がるため、人材確保を急務としている介護業界にとっても大きなメリットとなります。